相続コラム Vol.12「死亡前日の遺言：危急時遺言」
顧問先の社長様より遺言のご依頼がありました。
50代になられたばかりでしたが、末期の膵臓がんを患っておられました。
余命宣告は家族にされていましたが、ご本人にはされていない状況でした。
社長は、長年事業をともに支えてくれた妹さんへ、財産のほとんどを遺したい。
あとは、寄付をしたい。
一切の財産を親に渡らないようにしたい
というのが遺言の内容のご希望でした。
親御さんとは長年にわたる確執があったのです。
ガンになられると、先を見限り、死後の整理をされる方がいらっしゃいますが、
病状は一刻を争います。まだ時間があると思われていたのですが、
遺言書を作成している途中で急変して入院されました。
入院されてすぐ、公証役場と連携を取り、夕方かけつけました。
遺言書の内容を公証人さんが読み上げます。
苦しくて、うなずきながら泣いていらっしゃいました。
明るいのがきつい、カーテンを閉めてくださいと言われました。
サインはできないので、危急時遺言となりました。
翌朝、社長様は息を引き取られました。
正直こんなに早く亡くなられるとは思っておりませんでした。
最後の力を振り絞って遺言をされた印象があります。
もしかしたら、ほっとされたのかもしれません。
何どもうなずいておられました。
悲しいお話ですが、このような遺言の形もあります
この記事を担当した税理士
税理士法人葵パートナーズ
代表社員税理士
花田 直子
- 保有資格
税理士
- 経歴
-
2002年に税理士試験合格。
2011年より税理士法人葵パートナーズの代表社員税理士を務める。
相続の相談件数1,800件以上の経験から相続税を中心とした相続に関する悩みを抱えている相談者からの信頼も厚い。
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