相続コラムvol.51「遺産が未分割の場合税務署」
相続財産が様々な事情で未分割の場合、税務署はその事情など全く考慮してくれません。期限内に申告しなければ、様々なペナルティがついてしまいます。
相続税の申告期限は法律で定められているものなので、各税務署レベルでそれを先延ばしにすることは絶対にできないのです。
申告ができなければ、どんどん延滞税が膨らんでいってしまいます
では、そのような場合はどのようにしたらよいのでしょう。
1つの方法として未分割のまま相続税の申告をする方法があります。
遺産をひとまず法定相続分の割合で分けたとして申告をし、後日遺産分割が成立してから修正をします
その場合のデメリットは以下です。
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1)配偶者の税額軽減が適用されない
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配偶者は法定相続分(遺産の半分等)か1億6,000万円のどちらか、大きい額まで相続税がかかりません。しかし、未分割の遺産には適用されません。
2)小規模宅地等の評価減が使えない
小規模宅地等の特例を適用することで、居住用宅地であれば、330㎡まで 80%減額、不動産貸付事業宅地で200㎡まで50%減額といった大きな評価減額を行うことができます。しかし、未分割の場合にはその評価減を使うことができません。
3)物納ができない
未分割の相続財産については、いったん相続人全員が共有したことになるため、仮に物納申請をする場合には、相続人全員が申請する必要があり、単独での物納申請ができなくなります。
4)農地等の納税猶予が適用できない
納税猶予の適用を受けるためには、その納税猶予の対象となる農地等が申告期限までに分割されている必要があります。
5) 非上場株式などの納税猶予が適用できない
ただし3年以内に遺産分割協議がまとまれば、上記(1)(2)の優遇措置は使用できますのでご安心下さい。
未分割で相続税申告を行う場合には、申告期限後三年内の分割見込書」を提出し、後で各種特例が受けられる状態にしておきます。この分割見込書を提出することで、未分割だった遺産が申告期限から3年以内に分割された場合、その分割された日から4カ月以内に更正の請求を行うことにより、上記(1)(2)の優遇措置については適用されるようになります。
過去の納税額が過大であった場合には、その多い部分につき還付を受けることができます。(3年を超える場合には更に別の方法があります)
申告手続きも2回になりますし、皆様にとって分割できるに越したことはありません。
なるべく円満に分割できるよう、ご提案をさせていただいております。
ですが、どんなデメリットがあろうと、分割できないものは出来ないのが現実です。
お金の問題、感情の問題、過去の色々。。
どんなことでもご相談ください
この記事を担当した税理士
税理士法人葵パートナーズ
代表社員税理士
花田 直子
- 保有資格
税理士
- 経歴
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2002年に税理士試験合格。
2011年より税理士法人葵パートナーズの代表社員税理士を務める。
相続の相談件数1,800件以上の経験から相続税を中心とした相続に関する悩みを抱えている相談者からの信頼も厚い。
- 2024年7月25日「一度相談に行ってみてください。親切に教えてくださいます」
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