相続コラムvol.34「要らない財産を相続したくない:相続放棄はどうか」
しばしば、相続のご相談時に「こんな土地を相続したくない」というお話が出ます。
現在お手伝いさせていただいている案件の中でも、たくさんの土地をお持ちなのですが、未利用の農地がたくさんあり、お守りしていくだけでも大変なので、相続したくないと遺産分割協議が止まっているケースがあります。
昔のように、長男が土地を相続し守っていくという風習が薄れ、どの相続人の方も農業をしないのであれば土地は要らないと言われます。
このような場合に打てる対策としては以下のようなものがあります。
1-1.売却する
調整区域の農地ですと買い手がつかず、大規模な開発工事でも持ち上がらない限りは、可能性はかなり低いです。
1-2.寄付する
売却することができないのであれば、誰かにタダで引き取ってもらうという選択肢があります。
譲渡先としては、国、個人、法人が考えられますが、所有者が不要な土地で、更に売りに出しても誰も欲しがらない土地であるということは、これらも欲しがらない可能性が高いです。
1-3.相続放棄
土地の所有者が亡くなり相続が発生した場合、通常その土地は相続人に引き継がれます。ここで相続人全員が相続放棄をするのです。
そうすれば土地の所有者はいなくなり、民法の「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」状態になります。
2.相続放棄をしても。。。。
相続放棄をしたらその時点から自動的にその土地が国の財産となり、責任から解放されるわけではない点に注意しましょう。
相続放棄後もその土地の名義人は被相続人であり、固定資産税はかからないものの、注意義務や管理義務は継続します。
土地の管理義務は、次の管理者が現れるまで続きます。
全相続人が相続放棄をした場合には、利害関係人または検察官が家庭裁判所に請求することにより、「相続財産管理人」が選任され次の管理者となります。 これによってようやく、土地の管理責任義務から解放されることになるのです。
ただし、相続放棄手続きからこの相続財産管理人選任の申し立てには、数十万円以上の費用が必要となります。
現実的にはこの負担が厳しいため、結局相続するしかなく、固定資産税の支払いと維持管理を続ける人が多くなっています。
この記事を担当した税理士
税理士法人葵パートナーズ
代表社員税理士
花田 直子
- 保有資格
税理士
- 経歴
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2002年に税理士試験合格。
2011年より税理士法人葵パートナーズの代表社員税理士を務める。
相続の相談件数1,800件以上の経験から相続税を中心とした相続に関する悩みを抱えている相談者からの信頼も厚い。
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